『薬剤師とサプリメント〜私たちは求められています ！〜』
第18回日本医療薬学会 平成20年9月21日 札幌
平成20年9月21日に札幌で「第18回日本医療薬学会」が開催されました。
そこで発表しました『薬剤師とサプリメント〜私たちは求められています ！〜』をご紹介いたします。
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● 研究目的
消費者と薬剤師の意識・実態のギャップを明らかにする
本研究では、薬剤師は今後サプリメントにどのように関わっていくべきかを明らかにするため、消費者の意識や使用実態について調査を行いました。また、薬剤師はサプリメント使用者の意識･実態をどの程度認識しているかについても追加調査を行い、消費者と薬剤師の間にある意識と実態のギャップを明らかにすることを目的としました。
消費者意識調査 (n=2033)
「錠剤・カプセル等の形態を持つ」サプリメントについて、消費者の使用実態・意識を調査し、薬剤師がどのように関わるべきかを明らかにする。
薬剤師意識調査 (n=45)
薬剤師が消費者意識調査の結果をどう予測したかを調査する。
● 調査対象
期間： 平成20年3月 〜 平成20年6月
対象： 期間中保険薬局にみえた患者様・及び全国の医療機関スタッフ・医療系学生
男女比率： 男 ： 女 = 1：3
年齢： 10代 〜 80代
方法： 来局患者に薬剤師が聞き取り調査を実施
回収件数
まろんグループ来局患者 ： 934件
協力機関合計 ： 2033件
消費者意識調査は平成20年3月から6月にかけて、北海道･埼玉･東京･神戸の各種協力機関において患者さん･医療スタッフ･学生等にも同様のアンケートについてお答えいただき、総数２０３３件のアンケートの回収をすることができました。
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● 消費者意識調査対象と方法
期間： 平成20年3月 〜 平成20年6月
対象： まろんグループ来局患者 ： 934件
男女比率： 男 ： 女 = 1：3
年齢： 10代 〜 80代
方法： 来局患者に薬剤師が聞き取り調査を実施
今回は調査総数２０３３件の内、まろんグループの調剤薬局に来局された患者さん９３４件のデータを母集団として統計をとった結果を発表いたします。まろんグループの調剤薬局では、この写真に示すように、来局された患者さんに薬剤師がお願いをして調剤の待ち時間にご記入いただきました。
● 調査項目
調査項目全10項目の内、特に興味深い結果の得られた8項目について発表いたします。
１．今までサプリメントを利用したことはありますか？ （二択）
２．サプリメントを購入する場合はどこから買いますか？（選択複数回答可）
３．あなたがサプリメントを選ぶとしたら、ポイントは？（選択複数回答可）
４．サプリメントについて、どのような情報がほしいですか？（選択複数回答可）
５．その「サプリメントの情報」は現在あなたにとって満足ですか？（選択）
６．サプリメントついて、医療関係者から情報を受けたいと思いますか？ （二択）
７．「はい」の方、どのような医療関係者から受けたいですか？（選択複数回答可）
８．これまで、サプリメントについて薬剤師から情報を受けたことはありますか？（二択）
1. 今までサプリメントを利用したことはありますか？ （二択）
まず、今までにサプリメントを利用したことがありますかという問いに対して、利用したことがあるとお答えいただいたのが48%でした。一般的な市場調査ではサプリメント使用者の割合は70-80%が多いようですが、薬の処方を受けている患者さんにお答えいただいたため約半数にとどまっているのではないかと考えられます。また、使用目的は右の円グラフのような結果となっており(各項目をポインターで指す)栄養バランス、病気の治療補助・予防、美容・ダイエットの順となりました。
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２. サプリメントを購入する場合はどこから買いますか？（選択複数回答可）
次に、サプリメントの購入場所に関しては品揃えが多く、気軽に購入することができるドラッグストアが最も多い結果となりました。１位、２位の購入場所がドラッグストアと調剤薬局という薬剤師の存在する場所であるということも注目することができる点と言えます。
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３. あなたがサプリメントを選ぶとしたら、ポイントは？（選択複数回答可）
消費者がサプリメントを選ぶ際のポイントとされているものは、多岐にわたっており、選択の決め手になるものは現時点では絞られていないと考えられます。
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４.サプリメントについてどのような情報がほしいですか？（選択複数回答可）
求められているサプリメントの情報の種類については、消費者は副作用・安全性の情報や効果の科学的根拠を特に求めています。またこの結果からは元々、疾患の治療を行っているからこそ医薬品との飲み合わせについても要求が高いことがわかります。
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５. その「サプリメントの情報」は現在あなたにとって満足ですか？（選択）
では、現時点でサプリメントの情報はどの程度、満足度があるかを調べたところ、どちらともい
えないが５７%で多数を占めており、かなり不十分、やや不十分を加えると８３%となり満足度は高く
はなく、サプリメントの情報に対して不足感を感じていると言えるのではないでしょうか?
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６. サプリメントについて、医療関係者から情報を受けたいと思いますか？（二択）
次は医療関係者から情報提供を受けたいかという質問です。「はい」と答えた方が64%でした。サプリメント使用者は医療関係者からの情報提供を求めているといえるでしょう。
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７. どのような医療関係者から受けたいですか？（選択複数回答可）
このように他の職種を抑えて、薬剤師がトップとなりました。これは調剤薬局でとったアンケートであるため、バイアスがかかっているとも言えますが、少なくとも調剤薬局に来ている患者さんは薬剤師に聞きたいと思っているといえるのではないでしょうか。また今までの結果もふまえて考えると、現在、日本ではサプリメントは「食品」区分とされているが、使用者は薬に近い効果を期待しており、そのため薬剤師に聞きたいと思っているのではないかとも考えられます。
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８．これまで、サプリメントについて薬剤師から情報を受けたことはありますか？（二択）
しかし、実際に薬剤師からサプリメントのアドバイスをうけたことがある人は非常に少なく、たったの４%でした。この原因が何かを探るべく、社内の薬剤師を対象とした追加のアンケートを実施しました。
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● 薬剤師意識調査
薬剤師意識調査を実施
消費者意識調査の結果をふせて、薬剤師が消費者意識調査の結果をどう予測したか？
まろんグループ薬剤師 n = 45,
男：女 = 1：4, 年齢 ： 20代 〜 50代
調査方法として、消費者がどの職種の医療関係者から情報提供をされたいか、先ほどの消費者意識調査の結果をふせた上でまろんグループの薬剤師に予想してもらう形をとりました。
『どのような医療関係者から受けたいですか？』の質問に対して、患者さんが一番に望む職種の割合は？
実際のアンケートでは１−３位までの順位を予想してもらいましたが、今回は1位のみ集計した結果がこのようになりました。
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また薬剤師に視点を当てて結果を見るとこのようになります。
自分たち薬剤師がサプリメントの情報提供を求められていると考えていたのは約1/3で、サプリメントに関して薬剤師が消費者に期待されていると考えている人は多くはなかったようです。
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● 考察
以上の結果をまとめ考察に入ります。
消費者側はサプリメントの情報提供を薬剤師から受けたいと思っているが、実際は受けていない。薬剤師側から見ると自分たちにサプリメントの情報提供が求められていると考えている人は少ない。ここに消費者と薬剤師の意識のギャップがあることがわかります。
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● 今後の課題
では、今後の課題として行うべきことは、サプリメントの情報提供は薬剤師に最も期待されていることを薬剤師自身が認識すること、またサプリメント情報の収集・選別・共有の体制を築き、質の高い情報の入手に努めていくこと。以上の２点を踏まえ、調剤業務のみならず、積極的に健康産業に関わり、セルフメディケーションを推進できる姿勢をとることが大切であると考えます。
� ．汽廛螢瓮鵐箸両霾鹹鷆，蓮¬�剤師に一番求められているということを薬剤師自身が認識する。
�◆．汽廛螢瓮鵐半霾鵑亮�集・選別・共有の体制を築いていくことが求められる。
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最後になりましたが、本研究にご協力いただいた全国２０３３名の方々、アンケートの回収にご協力いただいた、
旭川医科大学 松原和夫先生
城西国際大学 薬学部 医療薬学科 河合洋先生
ツルハドラッグ旭川日赤前店 高野紀子先生
水島薬局３・１０店 新敷祐士先生
東明調剤薬局 山田和也先生
中村薬局 中村峰夫先生
ひまわり薬局 西野健三先生
に深く感謝いたします。以上で発表を終わります。ありがとうございました。
天野裕史，荒川有紀子，安西恵子，東 典子，大島幸徳，川崎啓子，柴田康次，菅澤 健，栗原智仁，水野 智，野田敏宏，平井みどり，井関 健
