『どうしました？緑内障の患者様に禁忌の薬が処方されたとき。』
第41回日本薬剤師学術大会 平成20年10月12日〜13日
平成20年10月12日〜13日に「第41回日本薬剤師学術大会」が開催されました。
そこで発表しました『どうしました？緑内障の患者様に禁忌の薬が処方されたとき。』をご紹介いたします。
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● 昨年の提案と実施した事は？
『緑内障禁忌の薬が処方されたとき、薬剤師としてはどう対処したらよいか？』
昨年の学術大会で、緑内障の患者さんに『緑内障禁忌の薬が処方されたとき、薬剤師としてはどう対処したらよいか？』について提案をさせて頂きました。
今回は、その後の経過と、問題点について述べさせて頂きます。
● 事例 Aさんの場合
他科併用薬 眼科にてキサラタン点眼液を処方され使用中、
例えばAさんの処方せんには、
�．▲ぅ肇蹇璽�20mg ２錠 朝夕食後 １４日分
�▲妊僖�0.5ｍｇ錠 １錠 寝る前 １４日分
��PL顆粒３ｇ 毎食後 ５日分
添付文書には
�．▲ぅ肇蹇璽�20mg 閉塞隅角緑内障：禁忌
�▲妊僖�0.5ｍｇ錠 急性狭隅角緑内障：禁忌
��PL顆粒 緑内障：禁忌
と記載されています。
● 緑内障患者さんへ禁忌薬が処方された場合の薬剤師さんの対処法
対処法１
開放隅角緑内障の患者さんや閉塞隅角緑内障であっても、急性発作を起こさないよう、外科的処置（レーザー治療や手術）を受けている患者さんには、緑内障禁忌薬は問題ないと考えられています。従って、これらの薬剤が緑内障の患者さん全てに禁忌であるというわけではありません。
他科を受診している場合には、副作用や相互作用を避けるために、眼科主治医にも、疾患や処方されている薬剤について指示を仰ぐようにすることが大切です。
（点眼剤 製剤設計と服薬指導 参天製薬株式会社 より）
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● こんなことになる前に！患者さんに情報を携帯してもらおう。
疑義照会すればいいのですが・・・
・「本日は休診日です」（留守番電話）
・「眼科医が不在でカルテだけでは分かりません」（地域の病院では）
・「なんでそんなこと答えなきゃいけないの！」（医師が怒った声で）
・「個人情報に関することですので、お答えできません」（受付の方が冷静な声で）
こんなことになる前に！患者さんに情報を携帯してもらおう。
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● G M I Card
「ならお薬手帳があるじゃないか」
「でも手帳を持っていない人も多い」
「シールにして張り付けると、古くなると見ない」
と検討した結果カード形式にしました。
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● カードの流れ
最初は、薬局から医療機関へ依頼する形をとろう思ったのですが、近藤眼科 近藤義之院長がカードの趣旨や意味について理解し、賛同してくださり、「依頼なんかされなくても、眼科から発行するよ。」と言ってくださり、眼科から発行する流れになりました。
�ヾ祺覆派縮未魑�入して頂く
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�▲�ードを持って薬局へ
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�Ｌ�局で説明
市販の風邪薬などもそうですが、緑内障を悪化させてしまう可能性のあるお薬がこれだけあります。ただし、緑内障にも２種類ありましてその診断できるのは眼科の先生しかいません。
ただしAさんの場合、このお薬を飲んでも問題ない種類の緑内障です。といった先生からの証明書です。ですからどこの医療機関でも見せてください。他の医療機関で緑内障だから、お薬が処方されなかったりすることを防ぐためです。
● 始めてみて判ったこと
（昨年９月より1年で約３５０人に実施）
�ヾ擬圓気鵑量鵤坑亜鵑藁估眈磴剖愆�の薬があることを知らなかった。
�▲�ードを持って来局される患者さんの約９２％は服薬に制限が無かった。
等患者さんの置かれている状況が分かりました。
● 患者様の声
・内科で風邪薬をもらおうとしたら、医師が「緑内障？」「困ったな・・・」と言ったきり薬をもらえなかった。
・心療内科で山ほど薬をもらっていたが、「緑内障なら眼科へ行け」と言われ薬をもらえなかった。
・いままで私は緑内障なので薬は飲めないと思っていた。（ＯＴＣの添付文書から）
他にも色々なお話が聞けました。
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● 実施した医療機関からの声
・説明する手間が増えた。
・問い合わせが減った。
・患者さんから「なんでもっと早く実施してくれなかったのか」と言われた。
・「こんな親切なことをして頂いたのは初めて」と言われた。
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● 他、耳に入った話として
・ある内科では「カードには、投薬制限なし、となっているが？」と言って、内服薬を教えてくれました。（薬局にＴＥＬ有り）
・他の眼科で「こんなことやったら情報提供料がもらえないじゃない」と言われた。（ＭＳさんより）
・カードを見せると、「意味がわからない」と他科の医師に言われた。（患者さんより）
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● 他にも問題点が・・・・
問題１：他の調剤薬局でGMIカード（緑内障カード）の説明が出来無い。意味不明とのこと・・。
解決策１：GMIカード（緑内障情報カード）の解説書を作成し、八王子薬剤師会を通じて、近隣の調剤薬局へをFAXして頂いた。（「非常に良い事だ！」と賛同していただき、素早い対処をして頂いた八王子薬剤師会へ感謝！）
問題２：患者様が忘れる。20年４月より後期高齢者へお薬手帳の配布が始まったが、カードを利用していない。もらったことすら忘れている。
解決策２：再度発行して頂く様に、患者さんと眼科へ働きかける。
問題３：眼科専門医に診察を受けないと判断してもらえない。
解決策３：40歳以上になったら1年に1回は眼科で健康診断を。
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● １回では意味が無い！継続してこそ成果が現れる！
継続は力なり。
患者様から「ありがとう」と言っていただける限り、今後も続けるつもりです。
● 最後に全国の薬剤師さんへ
・まだ始めたばかりですが、是非この様な取り組みを理解し、賛同してください。そして眼科医の先生へ、提案をしてみてください。
・昨年度多くの薬剤師さんより、どうすれば実施できるか？相談を受けました。
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ご静聴ありがとうございました。
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（株）まろん たんぽぽ薬局 沢田英之
